白髪が増えてきた夫と、生活音がうるさい妻

夫の白髪が増えてきた。私が「白髪、増えたね」というと、夫は「家庭内のストレスが多いもので」と返してきた。さらに「あなたの髪は、真っ黒で、うらやましい」と私に言った。いよっ!返しがうまい!なんて言っている場合ではない。

数ヶ月前まで、我が家の朝は騒がしかった。平野レミ氏のような朝だった。ちなみに、私は明るい平野レミ氏が大好きだ。

ある日、夫が言った「朝はできるだけ、静かに過ごしたい」と。私の声は大きく、生活音もうるさい自覚がある。一方、夫は、階段の上り下りの足音をはじめ、ドアの開け閉め、物を置く音も静かで、口数は、私の10分の1である。いや100分の1である。

最初は、夫は神経質だなぁと思っていたが、どうやら、夫は低血圧ということがわかった。また、明るいのはいいことだが、うるさいのと明るいことは別であるし、静かに過ごしたい人にとって、静かに過ごせない朝は、本当にストレスフルだろうと思うようになった。口数少ない夫が「静かに過ごしたい」と、口にだして、言うほどだから、きっと、ストレスをためていたのだろうと思った。そりゃあ、白髪も増えるはずだ。

それ以来、我が家の朝は、スターの寝起きドッキリのように静かである。私は、ホテルの部屋の前で仕掛け人がカメラにむかってする「オハヨウゴザイマス」という、透明な声の意識で挨拶をするようになった。それくらいの意識で、やっと、夫の周波数にあうということを実績として感じている。また、ドアの開け閉めの音がに気をつけ、床を歩く音にも気を付けるようになった。

そんなことをやり続けていたら、ある日、私は、気づいた。これが、うわさのていねい生活というやつなのか!とてもいいじゃないか!!あまりに静かすぎて、たまに、我が家の朝は、葬式か!と思うのだが、いやいや葬式じゃない、これは静粛というんだよ、と、私は心の中でつぶやく。

息子は、出発までの朝の時間に本を読むようになった。私は、朝の瞑想をするようになった。いいことづくめの朝である。穏やかに気持ちよくスタートできるこんな朝の時間があったとは!人生、長生きしてみるものである。

そして、家庭内のストレスが若干減ったのか、こころなしか、夫の白髪の増え方が遅くなったように感じている妻なのであった。

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2018年夏 宮古島旅行