夫の返事は、概ね20文字以内

少し前に、私は美容院で少し髪を切ってもらった。その髪型を気に入り、私はウキウキしていた。

夕方、帰宅した夫は、私の髪型の変化に気づいていない様子だ。私は、鏡を見ながら、ウキウキ気分を鼻歌で奏でながら、夫に”髪切りましたアピール”してみたが、こちらを見ていない。それから、息子と3人で夕飯を食べながら、私は息子に「今度は、どんな髪型にしたい?」なんて話題を出しながら、遠回しにアピールしてみたが、スルーであった。

男の人は、本当に気づかないんだよなぁ!この微妙な変化に気づいてあげる優しさが、夫婦円満の秘訣なのよ、と思いながら、しびれを切らした私は「あのさ!わたし、今日、髪切ったんだよ!!」と言った。

すると、スマホをみていた夫は、視線をゆっくりこちらにむけて、ため息交じりに「僕は、昨日切りました」と言った。その口数”11文字”。

じぇじぇじぇ!!!よくよく夫の髪を見ると、ほ、ほんとだ!いかにも、昨日床屋で揃えてもらいました!という”もみあげの存在感”、整えられた”毛並みの頭頂部とその周辺”、夫の髪型の変化に、私は1㎜も気づかなかったということに気づいた夜。優しさが足りないのは、夫より自分やないか!と気づいた44の夜。盗んだバイクで走りだしたい気分である。

そして「今後”髪切りましたアピール”はいりません」と夫。その口数20文字。

で、ですね、そ、そうですね!気づいてくれアピールって、周りにとって、ストレスでしかないですわ!夫は私の髪型の変化に気づいていたのだが、アピールがうざすぎて、閉口していたのだ。

それ以来、夫が帰宅するたびに、私は夫の頭をチェックし、心の中で「よしよし、今月はまだ切ってないな」「今日も髪型に変化はないな」など秘かに、夫の髪型の変化に気づく訓練をしていた。

そして!ついに「お!おぬし!今日切ったな!!」と気づいた。私は、やっと気づけた、気づいた自分に興奮しながらも、冷静さを装い、夫に「髪、切った?」とタモさん風に聞いた。すると、

「帽子をかぶってただけ」と夫。その口数10文字。

な、なんだとー!!!という謎の感情がわきあがった。切ってないんかーい!!!帽子のせいで、髪がぺしゃんこになってただけかーい!と心で叫んだ。

それから、我が家では「髪切った?」という話題は抹消された。それでいい、これでいいのだ。

↓<釣りを楽しむ息子と夫>

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